下町のクールビズ

  関西もとうとう梅雨入り。蒸し暑い。
  ビールの買い置きがないことに気付き、夕方スーパーへ。
 途中、鉄工所の前を通り何気なくなかをのぞくと、仕事を終えた上半身裸のステテコ姿のオッサンがいた。
 これぞ下町のクールビズなのだ。

 

チャック空いてます

  京都から大阪へむかう電車の中。
  50代のオジサンと70代のおじいさん。 テストがどないや、組合がどないや、と どうも教員らしいことが会話からわかる。
 なるほどいでたちも、オッサンはポロシャツにスラックス、おじいさんは背広、とそれぞれに「先生」風だ。おじいさんは校長先生だったのだろうか。にしては、上下関係を感じさせず会話もリラックスしている。
 耳を立てて聞いていたわけではないが、ふと会話が途切れた。次の瞬間オジサンはこともあろうか「校長先生」にむかって
「チャック、空いてますよ」とサラリと言ってのけた。
 車両内は結構混んでいて、空気の流れが止まった。おじいさんはあわてる風もなくオジサンの顔を見ながら
「たいしたもんやあらへん」とチャックをあげた。
「たいしたこと」ではなく「たいしたもん」ときた。
 大阪人らしいヒネリの効いたリアクションだった。

 

大げさリアクション

  自転車で駅前の銀行に行く途中、立ち話している若い女の子が 目に入った。
 2人の表情と身振り手振りの大きさから、てっきり聴覚障害のある人だと思った。
 ところが横を通り過ぎるとき話し声が聞こえ、単に彼女らのリアクションが大きかっただけとわかった。
 大阪のオバチャンはこうやって形成されていく。オバンは一日にして成らず。
 キモに銘じておこう。

 

ギラギラ

 

  先週から毎週1回京都で政治塾に通っている。(M下政経塾ではない)
 民社党と社民党と民主党の区別も付かない私が政治のお勉強なんて…。世の中やっぱりオカシな方向に進んでると我ながら思う。
 「経済が潤えば教育や福祉にお金がまわる。 だから経済活性化が最重要課題だ」というのが前に住んでいた街のスローガン。そのわりにゃあ、せっかく国のお情けでもらってきた補助金による活性化事業はシロウトのわたしにも判るくらいのお粗末さ。
 自治体もそんなに「経済、経済」って言うなら、効率とか採算とかちゃんと検証してからやりなさい!と思うし、国の相変わらずのバラマキ公共事業をやめてほしいと思う。「教育・福祉を!」というと「女はすぐ生活じみたことを言う」みたいに聞く耳を持たない。女だから言ってるわけじゃないのに。
 そんなこんなで、やっぱ政治の世界でどう提言すれば効果的かを勉強するために、大学院より手っ取り早い政治塾を選んだ。
 ふだんはIQ100ならぬ、愛嬌100の全開モードなのだが、ここではつい柄にもなく「政治的駆け引き」をしてしまう。だってどんな人が来てるか判らないんやもん。私だって少しは慎重になるよ。
 まぁ、そもそもTシャツジーンズデイパックの人(わたし)がなんでここにいる? ってカンジなんだけど。やっぱ政治は贅沢な趣味じゃ。
 いちおー「連合系」の人がやってるんだって(なんの連合なんだろうね。わしゃよーわからん)。 まっ民主主義は民主主義みたい。M下政経塾の悪口言ってたし。
 塾生(という言い方がヤだけど)は 小池百合子風のお姉様、NPO風の女性、左翼っぽいオジサン、いずれ候補者になりそうな若い男の子…。
 毎回4時間の講義も憲法や地方自治、国際関係、農業、経済…いろんな講師が来ておもしろい。講義の終わりの質問コーナーでは
「コイズミはけしからん!石原も許せん!」と息巻くオジサンがいる。それはわかってるから…。あの世代はなぁ…。
それにひきかえ、
「中国が反日デモや不買運動さえしなければ 日本は何を言ってもいいとボクは基本的に思うんですけど」 と30代後半の男性。やっぱり若い人は右傾化しているのだろうか。
 いろんな人の意見が聞けて楽しい。
 でも政治を目指す人ってこんな程度でええのん???

 「都市の情報化政策」の授業で 「それってなんやかんや言いながら公共事業やん」と いきなりギモンを抱いたわたしはレポートを書く際に、年の近そうな女性に
「どうやって書けばいいか難しいね」とカマかけてみたら
「2,3行書いたらいいのよ」と素っ気なく言われてしまった。
  駆け引き駆け引き。うーん、イジワルやなぁ。 そのわりに彼女、昨日の飲み会ではとある市の選挙経験者の若い男性にずいぶん積極的だった。
「やっぱり無所属がイチバンですよ!」と身を乗りだす。 私にはキツいこと言う市民運動系オバサンも 「そうそう」とコイツには妙に肩入れしている。
  でもわたし、この人のことは実はちょっと聞いたことがあった。無所属どころか、とんだバックがついてるかもしれない人なのダ。
  みんなギラギラしている。一緒に何時間もいると毒気に当てられる。
 政治家になるヤツなんてロクなもんじゃない、と思った。