3K新聞更新

  夕飯を作っていると電話がかかってきた。
 今月で契約の切れる3K新聞からだった。
 「すんません、今月キャンペーンになっていて」
「もう今月いっぱいでいいですよ」
「いま、キャンペーンの契約が取れなくて、こうして一軒一軒雨の中まわらせていただいてるんです」
 今日から急に冷え込んできた。前に来たあのおっちゃんやろうか。返事に困っていると、
「もうほんまアカンのですわ。頼んます」と泣きそうな声になっている。
 そうだよな、販売店の人が悪いわけちゃうもんな。
「じ、じゃあ、あと3ヶ月・・・。」
「そんなん言わんと!半年っ!!粗品も差し上げますから!お願いしますっ!!」
  今からすぐそちらに行きます!といって5秒ほどでウチに来た。さてはウチの契約切れるの知ってて、「キャンペーン」と言ったな?!
 前の浜村淳みたいなおっちゃんでなくて、今度は若い2人組だった。
 粗品のポリ袋を受け取り契約更新のサインをする。若い男は
「なんかあったら、このケンちゃんに言うたって下さい」
 図体のでかい「ケンちゃん」はどうも、といっておじぎをする。
 「ケンちゃん、言うても、なんとか屋ケンちゃんとちゃいますから!」
 朝日新聞の勧誘が同じコトをしたらエライ目にあうだろう。
 えーなー、3K。コワイもんなしやな。
 そういえばこの「なんとか屋ケンちゃん」のネタ、 前もあのオッチャンが使ってたやんか!!定番かいっ!!

 

芦屋マダムの夕食

  今夜のメインは なんとポーターサービスがある芦屋の大丸でお買い物。
 オリーブオイルのおいしそうなのがないか探していただけで、結局なにも買わなかったけど。
 と、50がらみのおばちゃんとその母上らしきおばあさま。 芦屋マダムって感じでオ品がオよろしい。 ケータイで自宅に電話している。
  「ええ、クラゲのなんとかとなんとかしかないのだけど、 メインがないのよ・・・。」 普段の晩メシにも「メイン」かい!!
 そういやここいらを歩くK南高校やS陰の制服を着たコドモたちは肌つやが妙にいい。高島政伸・政宏(だっけ)兄弟を初めてテレビで見たときの威圧感みたいのがある。「コイツら普段からえーもん喰ってんねんやろなぁ」 と思わずにはいられない。

 

大阪のオバン芦屋侵攻

  待ち合わせに時間があったので芦屋の駅近くのブティックをのぞく。
 いかにも口うるさいおばさんが2人組で若い店員に攻勢をかける。
「わたしらな、この店オープンの時から来てんねん。 おねーちゃん、何年目?」
「あ、わたしは11月からですので・・・」
「ここの商品、ホンマ気に入ってんねん」
「ありがとうございます」
「わ!このバッグカワイイわ!なぁ、オネエチャン、これバーゲンまで 取り置きしてもらえへん?」
「ちょっとそれは・・・」
 それまであんなにフレンドリーだった態度は一変。
「じょーだん冗談。芦屋の人は冗談通じひんワ」
 冗談のワリに気ぃ悪くしてるやん!
 相方は商品をあちこち拡げて物色している。
 「私ら、大阪やもんなっ!大阪やったらそんなことあらへん!」
 大阪でもそんなことあらへん!

 

パッチ

  「今日は寒いから、お父さんに半パッチ履かせときましたから」
 父が病院へ行く日、施設の職員さんが私に言った。
 「半パッチ」とは、ズボン下の5分丈のこと。私と同世代の職員さんだが「半パッチ」で通じる。「パッチ」は関西人の共通言語なのだろうか。
 ちなみに関西では「ズボン下」とか、「股引」とは言わない。「パッチ」は「パッチ」だ。
 わたしもコドモの時から履かされた。タイツとちがって「パッチ」は面の肌触りが気持ちいい。
 「パッチ」という言葉を繰り返していると、なんかとても不思議な懐かしい気持ちになる。