地域再生計画

  ウチの近くには商店街が2つある。 どっちも終わりかけ感があるのだが、 なくてなならない買い物スポットだ。 活性化なんてぜいたくは望まないから、 なんとか細々でいいから生き残ってほしい。
 商店街の品揃えは店主が 使う人のことを考えて仕入れるせいか、 安心感がある。今回は下町のセレクトショップを 紹介しよう。

 

呉服店

  なぜかいつもキツネのお面を被ったマネキンを 飾ってる呉服屋さん。
  夏の浴衣姿も シュールだったが、季節の変わり目になると マネキンは着る物がなくて素っ裸。 見てはいけないショーウインドウだ。
 最近は「成人式」とポスターが貼ってある。 が、肝心の晴れ着が飾ってない。ショーウインドウに地元の小学生が描いた絵を 貼ってごまかしている。
 貼りきれない隙間からキツネの面がのぞいている。

 シキミと供花しかないお花屋さん 指先を切った軍手をしたおばあさんが 一日中座ってぱちぱちと花を切りそろえている。
 極力在庫を作らないために、 主力商品を「ホトケさん関係」にしぼった戦略。

 文房具屋さん 店のおじいさんは寝間着のうえにジャンパーを着ている。 たまたまなのか、いつもなのか?!
 少子化のあおりをうけてか、小学校の門前なのにこのさびしさ。
 商品はホコリがかぶらないように、棚ごと布で覆われている。 あるいは仕入れたときのまま段ボールに入ってる。取り出してくるのにちょっと時間がかかるが 待ってる間に、「砂消しゴム」とかなつかしいグッズを 眺めてノスタルジーに浸るのもよし。
 こんな店の状態なのに、消費税はタダ。ヤケクソなのか、 こっちが心配になってくる。

 

ふとん屋1

  お布団がとうとう薄焼きせんべいになったので 商店街の布団屋さんをのぞいた。
 店主のおじいさんは、残り少ない毛を染めたのか、髪が妙に黒々している。 こんな(といってごめんなさい)店構えなのに、なぜか三つ揃いを着ている。店番のおばあさんも、どぎつい柄のワンピースを着ている。
 大阪商人の心意気だろうか。
 「お布団は誰が使いまんの?若い人やったら軽いから 羊毛でええけど、ホンマは綿がおすすめですわ」。小売店はこういうやりとりが楽しい。
 人がやっと通れる、なんてあまっちょろいもんじゃない。 この店は布団が柱か?と思うほど天井まで詰まった 布団の山を押し分けて綿の布団を探し出してきた。
 でもこの店主の趣味を反映してか、ちぐはぐな柄の布団しかない。しかもおじいさんは説明しながらよだれが止まらない。
 うーん、でももう後には引けない。敷き布団を一枚5000円で買った。

 

ふとん屋2

  店先には半纏やらこたつ布団やらゴムの緩い靴下やら、 お年寄りの好きそうな細々したものが並べてある。段ボール箱にパジャマが積んである。
 夫用のを探していると、濃い色しかない。 「違う柄あらへん?」と段ボールの下の方をあさってると、おじいさんがなにやらあわてている。
「下の方は夏モンですねんワ」。 商品をたくさんに見せるための上級(?)テクだ。