韓流ブーム? 3

   2日目。目的地は日本大使館。
元従軍慰安婦のおばあさんたちと支援団体が謝罪と補償を求めて毎週水曜日に日本大使館前で集会をしている。
今日は参加者の半分くらいが日本人。
日本から来た市民運動おばさんに
「いつもどんな活動をなさってるの?」と迫られる。
どんな「活動」って・・・
ワタシは「活動的」なだけであって、 「活動家」ではありませんからっ!
 答えに窮していると、
「あなたもしかしてK女学院の学生さん?」
 と勝手に勘違い。あまりに的はずれな問いかけに、
「あ、いやぁ〜」とニヤニヤしていると、
どうやら 「K女学院の学生」と思いこまれてしまったようだ。
おばさんはマイクを握って
「今日は若い方も参加してくださり・・・」と叫んでいる。
あちゃー。
このおばさんは学校の先生らしいけど、 あまりに人を見る目がない。
歴史と向き合う前に、生徒とちゃんと向き合えているか疑わしくなってくる。(つづく)

 

韓流ブーム? 4

  大使館近くでみんなで昼食。
  赤唐辛子の入ってないモノを、と牛カルビと白菜のスープ。
アルマイトの弁当箱みたいのに詰め込まれたご飯をスープに入れて食べる。
これもまたおいしい。キムチももちろんついている。
食事のバリエーションが豊富で飽きない。
腹ごしらえをして、元従軍慰安婦のおばあさんたちが暮らす「ナヌムの家」へ。
市内から電車で15分、バスで1時間、タクシーで30分くらいのところ。
ここまできてようやく農村風景らしきものに出会う。
「ナヌムの家」で博物館を見学し、夕食に呼ばれたので、 じゃあ、と思っていそいそ食堂に行くと、おばあさんが怒っている。
どうやらあいさつぬきでメシにありつこうとしたことが、気に障ったらしい。
ごもっとも。
職員さんと通訳の人がなんとか取りなしてくれた。
しょんぼり気分で夕食後の交流会。
「交流会」とゆーか、おばあさんたちが見ていたテレビを消して、 なかば強引に沖縄サンシンと歌を披露。
ああ、おばあさん、めっちゃ怒ってはる〜。
おもいきり盛り下がったところで自己紹介。
こうなったら仕方ない、と自分たちの思いを伝えることに。
日本人として政府の対応が恥ずかしい、という人。
おばあさんたちのあまりに大きな苦しみを受け止めきれずに涙した人・・・。
さっき食事の前に怒っていたおばあさんが口を開いた。
軍人に斬りつけられたとシャツをめくってお腹を見せてくれた。
健康状態も悪く、こんな惨めな姿で歩き回らなくてはいけない。
日本政府も韓国政府も私たちが死ぬのを待っている。
とにかく日本と韓国は仲良くしてほしい、という。
先が短いのだからお金はいらない。謝罪の言葉が欲しい、と言った。
静かに微笑んで聞いているおばあさんもいた。
日韓の外交のデリケートな部分だけに、韓国政府もこのことには慎重だ。
それゆえ、おばあさんたちは祖国からも孤立している。
自分の恥や忘れてしまいたいつらい過去を孤立や非難をおそれず公にした勇気に敬意を感じる。
「過去の侵略の歴史を反省し・・・」とかじゃなくて、
まだまだ若々しいおばあさんたちを見ていると、「過去の歴史」って感じではない。 自分の父よりちょっと年上、大正10年前後の生まれ。
おばあさんたちが一人でも多く生きている間に、
将来、両国の若い人たちがまた同じ論議に時間を費やさないためにも、
今あらためて日本の誠意ある対応を見せてほしいと思う。 (つづく)

 

ダイナミック・コリア!

  数日続いた激辛料理と歴史の重さに、
身も心も消化不良をおこしそう。
出発日の朝、ひねり出したアレは
大きな唐辛子のように真っ赤っか。
オシリはヒリヒリ。
オー、ダイナミック・コリア!
ウワサには聞いてたがショック・・・。
気が抜けてへっぴり腰で空港へ。
もうしばらく辛いモノはいらない、と思ってたけど、
免税店の日本語の上手なおねえさんにほだされて、
キムチと海苔を購入。
あたしゃオヤジか。

 

患者もいろいろ

  父の病室は4人部屋だが、 人生いろいろ、病気もいろいろだ。
ガンの検査入院らしい、やたらうわさ話好きのおっさん。
ブツブツひとりでひきこもっているおじいさん。
 となりのおじいさんは脳梗塞で運ばれたららしい。
自分ではトイレまで立てず、身の回りのことも自分でできず
(自分でやる習慣がない?)
一日中ベッドに座ってぼんやりとしている。
つれあいのばあさんも同じ病院に入院中。
杖をつきながらじいさんの世話を焼きに来る。
「ホンマ、自分で顔も洗わへんねんから! きったないなぁ。これやったら河原乞食のほうがマシや。 わやくちゃ(めちゃくちゃ)や。クッサイ、クッサイ!・・・」
 自分のダンナをそこまで言うか?
おばあさんはトイレにあった消臭剤を
おじいさんの尿瓶やベッドにふりまく。
それでは飽きたらずおじいさんに向かってシューシュー。
「これで少しマシになったやろ」
  ・・・って、アンタ・・・。