最近グローバリズムへのささやかな抵抗として、商店街で買えるものはなるべく商店街で買うようにしている。マンガもついコンビニで買うのをやめて、本屋に行くことにした。
商店街の本屋はやる気が感じられない。とゆーか、昔はみんなこんなだった。
福田みどり(司馬遼太郎夫人)似のおばちゃん に支払いを済ますと、レジの横にはってある色紙に目が行った。里中満智子の写真とサインが飾ってある。
里中満智子といえば私たちの世代(かちょっと前)にとっては少女マンガの神さまみたいなもんだ。
「ここに来たん?」
「里中さんはここの出身やで。知らんかった? サンケイホールで講演会があったとき、忙しいのに 懐かしいからってわざわざここに寄ってくれはってんよ」
「ここの本屋に来てたん?」
「昔はむかいの文房具やも経営しとって、その時に 里中さんはまだ小学生で、学校帰りに毎日1枚ずつ画用紙買いに来ててん。 あの子はみんなより少し早く学校から帰ってくるねん。きっと
少しでも早く家に帰ってマンガを書きたかったんやろな。お母さんは 学校の先生にさせたくて漫画家になるの反対しとったけど、 東京から講談社の人が来はって…」
そういえばそんな話、聞いたことあるなぁ。
「電気代もったいない、言うて早く電気消されるからトイレで絵描いてたんやて」
「家、どの辺やったん?」
「貨物の線路の高架下に長屋あるやろ?今は持ち主変わったけど、 そこに住んどってんよ」
高架下の長屋なんてここらには珍しくないからどこかわからない。 でも妙に頷けた。
里中満智子の作風はどこか大阪っぽかった。 「なかよし」で「キャンディキャンディ」がブームになったとき、たしか里中満智子の作品も読んでいた。登場人物はどこかあか抜けなくてストーリーはどこか現実味がなく良くも悪くも「少女マンガ」の王道だった。
読者の年齢層があがり、レディスコミックに作品が載るようになってからはなんとなくどぎつい感じがして、遠ざかっていった。ただ、初期の作品はほんとうに味わいのある絵を描いていたように思う。天才少女や天才子役の生きにくさが里中満智子にも感じた。
代表作をネットで調べて「ミスターレディ」という作品を思い出した。 そうだ、あれは結構おもしろかった。やっぱりあの人は大阪人なんだな。
わたしが編集者だったらもっとたくさんコメディを描かせただろう。