京都から大阪へむかう電車の中。
50代のオジサンと70代のおじいさん。 テストがどないや、組合がどないや、と どうも教員らしいことが会話からわかる。
なるほどいでたちも、オッサンはポロシャツにスラックス、おじいさんは背広、とそれぞれに「先生」風だ。おじいさんは校長先生だったのだろうか。にしては、上下関係を感じさせず会話もリラックスしている。
耳を立てて聞いていたわけではないが、ふと会話が途切れた。次の瞬間オジサンはこともあろうか「校長先生」にむかって
「チャック、空いてますよ」とサラリと言ってのけた。
車両内は結構混んでいて、空気の流れが止まった。おじいさんはあわてる風もなくオジサンの顔を見ながら
「たいしたもんやあらへん」とチャックをあげた。
「たいしたこと」ではなく「たいしたもん」ときた。
大阪人らしいヒネリの効いたリアクションだった。