立つんだジョー

  ゴローのやけにおとなしい(ふり?)。例によって、会社やめたい病だ。
  満開の桜の道を抜けて商店街へ買い物に行く。 鉄道の高架をくぐると、長屋が軒を連ね、子どもの三輪車が放りだしてある。下町の雰囲気やぁ、とホッとする。
 なんか「あしたのジョー」の町みたいだ。
 ふとまた妄想モードになる。
 「フフフ。こんな下町にわたくしのような令嬢が。 掃きだめにツルとはこのことね」
白木のお嬢様の気分だ。
 「矢吹君!がんばって!会社を辞めちゃいけないわ!」 いつのまにかジョーを支える紀ちゃんになっている。
  「なに言うてるんや、ジョー。辞めたらあかん」。西になってしまった。
 「辞めるなんて言っちゃいけねぇ。お前には力があるんだ。 こんなところでくすぶってることなんざねぇんだ。 なぁよ、2人で世界を目指さねぇか」
 結局最後はおっちゃんになる。
 (もう実は辞めてたりして)

 

たらいまわし

  父がグループホームに入居して一年が過ぎた。 おととしの6月、自宅でヘルパーさんを 使っていた。
  母が骨折して、父は一時的にショートステイを 点々する9カ月を送った。3日行っては自宅、そしてまた別の施設で 3週間、そして老健で1カ月…。これではかわいそうだと言うことで グループホームを選んだ。
 母も骨折後は持病もあり、父を家で みることはどうやら無理になってしまった。
 この間、グループホームで特養待ちをしているのだが、とうとう ホームの方から「面倒をみきれない」と退去を迫られた。
  受け入れ先も決まってないのにそれは困る。こちらとしては好きでグループホームに高いお金を出して預けているのではない。
  グループホームは「痴呆のある自立度の高い人」が中心なので 痴呆のあまりない身体介護を要する父はいつも後まわした。
 身支度もしてもらえず、ひげもつめも伸びほうだい。白癬菌で指は 真っ白だ。歯も磨いて貰っていない。 風呂も十分に入れて貰えない。「手がかかるから」といっても これではあまりにもひどい。
 施設の言い分はわかる。だけど、父にとってふさわしい生活の場(たぶん特養)がなぜ提供されないのか。グループホームに入っていると「居場所」があるため 特養に入りにくいと言う。これは急場しのぎであることは ケアマネも知ってるし、希望している特養にも伝えてきた。しかし待つこと1年。やはり「居場所」があることは特養入所へのネックになっているに思える。
 それならば行政に父の現状をみて貰って、グループホームから お手上げの状況を説明して貰い、そのうえで特養に行政からその状態を伝えて貰えないかと思った。行政には市民の健康を守る義務と施設に対して監督責任があるはずだからだ。
 区役所の「あんしんすこやか課」に電話するのはじめてではない。母がパーキンソン独特の難しさがあるところや、家庭の事情をわかって貰うため、2004年夏に保健士に訪問してもらった。母は自分でも窓口に出向くこともあったという。
  だから担当者は「こういう人もいるんだ」とは認識していてると思っていた。少なくとも建前上は。
 「あんしんすこやか課」に電話を入れた。
「今日はどういったご用件ですか」
こちらの住所と名前を言えば 担当者に替わってもらえると思っていたので どういうご用件ですか、と問われればいちから話をしないといけない。
 そもそもこの問題は、保健士に相談するべき分野なのか、あるいは一般職員が担当 する分野なのかを聞く。すると
「あんしんすこやか課にお電話いただければ職員かわたくしども保健士が対応させていただきます」という。
「じゃあ誰でもうちのことはわかってくれているんですね?」
「いろいろ問題がおありのようですし、お電話も何度かいただいでいるようですのでわかると思います」(そしてめんどくさそうに)「質問のご主旨はなんですか」と言った。
 人を見下した言い方に怒りを通り越してなさけない気持ちになる。
 グループホームに同行して話を聞いてもらい、そこで見た状況を特養に伝えて欲しい、と答えると
「それは保健士の仕事でない」という。おいさっき 「安心健やか課にきていただければ」と言っただろ?だから担当者は誰だと 最初に聞いたんやないか。行政には監督責任はないのだろうか。
「措置制度の頃とは違うので施設とお客様の個人契約になり、行政は関与することができません」と判で押したように言う。
 制度上確かにそうかもしれない。じゃあ、家でも見れない、施設でも 見れなくなった行き場の無い者はどうしたらいいのか。そもそも介護度で輪切りにするから個別の問題が見えなくなっているんじゃないか。
「では、ホームを出て行けと言われてどうしたらよいのか。 相談先はどこか、ということですね」と役所のおばさんが畳みかける。
 相談先はどこか?って。行政に相談してるんだっちゅーの。さらに「そういう質問ははじめてですので」だって。 だれも文句言って来ないならうちだってすんなりことが運ぶはずだ。
「保健士の決めることではありませんので上司と相談して お返事させていただきます」と言い、さらに、 「もうだいぶ長くお話ししてますので」と電話を切ろうとする。
 待て。「長く」って20分やないか。しかも 「お返事させていただく」のになぜこちらの連絡先を聞かないのか。
「以前にもお電話を頂いているようですし職員に聞けばわかります。 そちらからお電話してください」という。
 上司と話し合うなら話し合った結果を知らせてくれるのが筋やろが。
「では話し合った結果がわかったら連絡ください」と念を押して 私の電話番号を告げると押し黙った。
  ほんとにお前の仕事はなんや?と言いたくなる。しかし言えない。
  利用者の立場は弱い、と物知り顔でいたけれど、自分がそうなって、行政のいいかげんな対応にすら文句を言えない自分がいる。
 グループホームでの父の状態を 行政の人にみて貰いたい。この制度がこれでいいのか現場をみてもらいたいだけなのに。
 電話を切って15分ほどしてさっきの保健士から電話が入った。
  「ご相談の件ですが、まず特養を複数申し込みしていただくこと。それと介護に関する相談窓口は介護苦情相談窓口というのがありまして電話番号は…」
 わざわざ上司と相談するほどの内容か?
 苦情窓口にはお前らの苦情を言うたるわ。

 

降伏の黄色いハンカチ

  伊丹の駐屯地からイラクへ行くというので、誰が始めたのか知らないけど地元商店街に黄色いハンカチが掲げられているそうだ。
 ビラ播いて捕まっちゃうより、光景として絵になるし、のちのちいい話になるよな。
 でもなんかいやだな。千人針みたいで。
 こーゆーの、一番罪だよ。ハンカチを飾られちゃったら、内心は行きたくない自衛隊員やその家族はなんにも言えない。ハンカチより前に、「やっぱもうやめようよ」って誰も言えなかったのか。なんか最近いろいろあきらめがよすぎるよ。

 

謝罪

  対日(反日)デモでコイズミさんが中国に謝った。
 えーっ!そんなに簡単に謝んないでよっ!!
 だってアンタ悪いことしてるって思ってないでしょ?
 ゴローみたいにぜったい「ゴメン」と言わないガンコ者は論外だけど、なんかわからんけど向こうが怒ってるしとりあえず謝るって、夫婦喧嘩をエスカレートさせるいちばんの原因だと思うよ。