採用しないで!

  柏原崇ではなく、伊東四朗みたいなオジサンだった。
  オジサンはあいさつをしてペロリと私の答案用紙をめくった。
「す、すみません、歴史上の人物、多すぎて思い浮かびません」
「あ、いいですよ」とあっさり。私の煩悶はなんやってん!
 一通りの質問をしてオジサンは言った。
「大企業と違ってウチは私一人ですから・・・」
ええっ!!アンタだけぇ?? イケメン辣腕若手弁護士はおらんのぉ?! 私の妄想計画が・・・。
「法律関係に興味はありますか」
「あ、はい。憲法について関心があります」
オジサンの満足げな表情にホッとする。 それからオジサンは慎重に付け加えた。
「この仕事はとにかく正確さが要求されます。 それに自信のない人にとっては、ただ苦痛な仕事になるだけです。 自信はありますか」
面接で「自信があるか」と聞かれ、「ない」とも答えられず 「人並みには」と答えた。
 その後、OL時代に何度やっても計算の答えが合わなかったことを思い出し ジワッと汗が出てきた。や、やべえ。 オジサンは私がドン引きしてるのに気づかないみたいで、 時給など細かい話をしてくる。もしかして私のこと気に入ってる? もうええよぉ〜、カンベンしてよぉ〜。 でも、「人並みに」と言った以上、後には引けない。
 採用される前からユウウツになってきた。
 どうか採用されませんように。【完】

 

バイトの女の子、と呼ばれたい

  たとえば私がどこかでバイトすることになったら 「バイトの女の子」なのか、「パートのおばさん」なのか、 どう呼ばれるのだろうか。
 同じパートタイムジョブなのに不公平ではないか。
 正社員と派遣労働の差ぐらいこの呼び名の違いは大きいぞ。

 

男たちの大和

  バス停でバスを待っていると、後ろから小学生の男の子と お父さんの会話が聞こえてきた。どうやら 「男たちの大和」を見に行った帰りらしい。
  男の子は 「あの映画ホンマのことなん?」とお父さんに質問。私は映画を見てないけど、若いお父さんがどう答えるか どきどきして聞き耳を立てた。 するとお父さんは大まじめに
「あの映画はかなりホンマのことや」
 次に続く言葉が気になる。お父さんの歴史認識やいかに!
「だから、いい加減なものは造られへんかったんや」 ・・・って感想はセットのことだけかいっ!!
 ある意味、ホッとしてしまった。

 

想定の範囲内!?

  ホリエモンが証券取締法違反で逮捕された。
 マンションの偽装事件の証人喚問中、なんかなぁ、このタイミング・・・・。
 ホリエモンの逮捕で、「これだから最近の成金は」 みたいな、「品位」に対する批判の声がある。そこで「バブル紳士」が引き合いに出され、比較される。
 でもちょっと待て。「バブル紳士」ってそんなに偉かった? 彼らのために今もゼロ金利で借金返してるんちゃうの?
 そもそも、「紳士」なんて言った覚え、ない。「バブル」のあとは「紳士」ではなく、「オヤジ」だったハズ。
 それにしても、新聞・週刊誌の見出しは期待を裏切らない。
 「時代の寵児」「ヒルズ族から一転」「時代のあだ花」・・・。
 これじやあ、コイズミさんに「持ち上げたマスコミはなんなんですか」とつっこまれても何も言えまい。(どっちもどっちだけど)