銀山街道と呼ばれる積み出し港のそばの温泉津温泉に泊まる。
ところどころに見られる簡素な小屋は湯治宿だ。
元湯温泉は「座り」「ぬるめ」「熱め」の3つの浴槽がある。
3つといっても10人も入ればいっぱいになってしまうほど。
シャワーがないので、どうやって風呂に入ればいいのか地元のオバサンに聞く。
「わたしもここの人に聞いたんだけど、 まずとにかくたくさん体にお湯をかけてから湯船に入る。 掛かり湯は人があまり入らない熱めの湯を水で薄めてあびる」
のだそうだ。
たくさんお湯を掛けるのは、体のためでもあるけど、体の汚れを流し、湯の汚れを防ぐためという。
すべすべした石の湯船の感触がなんとも心地よく、
「いい温泉ですね」とオバサンに言うと、
オバサンはにっこり笑顔を返してくれた。
私が体を洗っている間は邪魔にならないようにさりげなく湯船に入る地元のオバサン。
これが道後温泉なら
「そらそーやわい。道後の湯が一番じゃ。観光客はなーんもわかっとらん!」
と一瞥されるのがオチだろう。
温泉にはシャワーがないため、おばあさんは2つの洗面器を使って洗髪する。
新しいお湯をくむのもアクロバチックに浴槽の縁を平均台よろしく伝っていく。
バリアフリーなんてあまっちょろいゼ。